目標5の概要

世界のどの地域でも、女性と女児は男性・男児に比べて様々な差別や不利益を被っています。政治参画の場面では、世界の国会議員の女性比率は約26%に過ぎません。経済面でも、女性は男性に比べて平均で約20%低い賃金で働いており、管理職に占める割合も低い状況です。

ジェンダーに基づく暴力は、世界中で深刻な人権侵害です。女性の約3人に1人が、生涯のうちに身体的または性的暴力を経験しています。児童婚、女性器切除、人身売買なども根強く残っています。

26%
国会議員の女性比率
20%
男女賃金格差
33%
女性が暴力被害経験
125位
日本ジェンダーギャップ

女性のエンパワーメント

女性のエンパワーメント(力をつけること)は、社会全体の発展につながります。マッキンゼーの調査によれば、もし女性が男性と同等に経済活動に参加できれば、世界のGDPが28兆ドル(約3,000兆円)増加する可能性があるとされています。

🏛️

政治参画

意思決定プロセスへの女性の参画促進。議会、政府、地方自治体での女性の代表性向上を目指します。

💼

経済参画

雇用機会の平等、同一労働同一賃金、管理職登用、起業支援により女性の経済的自立を促進します。

📚

教育機会

女子教育の推進、STEM分野への女性参画、高等教育・職業教育への平等なアクセスを確保します。

🛡️

権利保護

法的権利の保障、暴力からの保護、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの実現を推進します。

女性の経済参画の効果

GDP押し上げ効果:女性の労働参加率向上により、日本のGDPが約15%増加の可能性

企業業績:取締役に女性がいる企業は、ROE(自己資本利益率)が約8.5%高い

イノベーション:多様性の高いチームは創造性と問題解決能力が向上

あらゆる形態の暴力の撤廃

ジェンダーに基づく暴力は、世界中で深刻な人権問題です。家庭内暴力、性的暴力、人身売買、児童婚、女性器切除など、様々な形態の暴力が存在しています。これらの暴力は、女性と女児の人権を侵害し、社会参加を阻害します。

主な暴力の形態

  • 家庭内暴力:配偶者や親密なパートナーからの身体的・精神的・経済的暴力
  • 性的暴力:レイプ、セクシュアルハラスメント、性的搾取
  • 人身売買:性的搾取や強制労働を目的とした人身取引
  • 児童婚:18歳未満での強制的な結婚
  • 女性器切除:医学的理由のない女性器の切除

暴力撤廃のための取り組み

⚖️

法制度整備

包括的な反暴力法の制定、司法制度の改善、被害者保護法の強化を推進します。

🏠

支援サービス

被害者シェルター、相談窓口、心理的支援、経済的自立支援などの包括的サービスを提供します。

📢

啓発活動

社会全体の意識改革、男性の参画促進、メディアでの適切な表現推進を行います。

🎯

予防対策

根本原因への対処、教育プログラム、コミュニティベースの取り組みを実施します。

無償のケア労働

女性は世界的に、家事、育児、介護などの無償のケア労働に多くの時間を費やしています。この不平等な分担は、女性の社会参画や経済活動への参加を制限しています。無償ケア労働の認識、削減、再配分が重要な課題です。

無償ケア労働の現状

時間格差:女性は男性の約3倍の時間を無償ケア労働に費やす

経済価値:世界の無償ケア労働の経済価値は年間約10-39兆ドル

機会費用:ケア労働により女性の就業機会や収入が制限される

解決策

  • 保育・介護サービスの充実
  • 男性の家事・育児参画促進
  • 働き方の柔軟化
  • 家事労働を軽減する技術・インフラの普及

日本の取り組み

日本においては、政治分野と経済分野での女性参画が国際的に見て低水準であることが課題です。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数(2023年)で、日本は146カ国中125位と、先進国の中で最低レベルです。女性の高い教育水準や健康状態にもかかわらず、その能力が十分に活かされていない状況は、国家的な損失と言えます。

政府の取り組み

  • 女性活躍推進法の制定・改正
  • 男女共同参画基本計画の策定
  • 政治分野における男女共同参画推進法
  • DV防止法の強化
  • 働き方改革関連法の施行

企業の取り組み

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女性管理職比率

2030年までに女性管理職比率30%達成を目標とした取り組みを推進しています。

働き方改革

長時間労働の是正、テレワークの推進、フレックスタイム制の導入を進めています。

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育児支援

育児休業制度の充実、企業内保育所の設置、男性の育児参画促進を図っています。

📊

情報開示

女性活躍推進法に基づく行動計画の策定と女性の活躍状況の情報開示を義務化しています。