目標4の概要

教育は、個人の能力を開花させ、貧困から抜け出し、健康的な生活を送り、社会に参画するための基盤です。しかし、世界では約2億5,000万人の子どもが学校に通えておらず、6億人以上が基礎的な読み書き計算能力を身につけていません。

初等・中等教育の完全普及は、最優先課題です。特に女子教育の重要性は高く、女性が教育を受けることで、子どもの健康状態の改善、家族計画の実現、収入増加など、多方面に好影響が及ぶことが実証されています。女性の教育年数が1年増えると、子どもの死亡率が5〜10%低下するという研究もあります。

2.5億
人の子どもが不就学
6億
人以上が読み書き困難
7.7億
人の成人が非識字
50%
以上が女子と女性

質の高い教育とは

しかし、単に就学率を上げるだけでは不十分です。「質の高い教育」が強調されているのは、学校に通っていても基礎学力が身につかない「学習危機」が深刻化しているためです。開発途上国では、小学校を卒業しても基本的な読み書きができない子どもが多数います。

📚

基礎学力

読み書き、計算、科学的思考力など、すべての学習の基盤となる能力の確実な習得を目指します。

🧠

21世紀スキル

批判的思考、創造性、コミュニケーション能力、協働力など、現代社会で必要な能力を育成します。

💻

デジタルリテラシー

情報技術を適切に活用し、デジタル社会で活躍するための能力を身につけます。

🌍

持続可能性教育

環境、社会、経済の持続可能性について理解し、持続可能な社会の構築に貢献できる人材を育成します。

学習危機の実態

サハラ以南アフリカ:小学校修了者の約60%が基礎的読解力を習得していない

南・西アジア:約50%の子どもが最低限の学習レベルに達していない

格差の拡大:富裕層と貧困層、都市部と農村部での教育格差が深刻化

包摂的で公平な教育

SDG4では、すべての人が差別なく教育を受けられる「包摂的で公平な教育」を目指しています。これには、障害者、先住民、貧困家庭の子ども、少数民族、難民・避難民の子どもなど、教育から排除されがちな人々の教育権を保障することが含まれます。

女子教育の重要性

特に女子教育は、開発のための最も効果的な投資の一つとされています:

  • 女性の教育年数が1年増えると、GDP成長率が約0.3%向上
  • 中等教育を受けた女性は、そうでない女性より収入が約18%高い
  • 教育を受けた母親は、子どもの教育により多く投資する傾向
  • 女子の中等教育修了率10%向上で、妊産婦死亡率が約12%低下

障害児の教育

世界では約2億4,000万人の障害児が存在し、その多くが教育から排除されています。インクルーシブ教育(包摂的教育)の推進により、すべての子どもが同じ環境で学べる教育システムの構築が必要です。

生涯学習の機会

生涯学習の機会の提供も重要です。急速な技術革新により、一度習得したスキルが陳腐化するスピードが速まっています。職業訓練や成人教育、リカレント教育など、年齢や立場に関わらず学び続けられる社会システムが必要です。

🎓

成人基礎教育

読み書き・計算ができない成人への基礎教育プログラムの提供。世界で7.7億人の成人が非識字状態。

🔧

職業訓練

労働市場のニーズに対応した技術・職業教育により、雇用可能性を向上させます。

🔄

リカレント教育

社会人の学び直しを支援し、変化する労働市場に対応できる人材を育成します。

📱

デジタル学習

オンライン教育やeラーニングにより、時間・場所の制約を超えた学習機会を提供します。

高等教育・職業教育へのアクセス

高等教育や職業教育への公平なアクセスも重要な課題です。経済的理由で高等教育を受けられない学生への奨学金制度、職業教育の質向上、産業界との連携強化などが求められています。

教育とテクノロジー

COVID-19パンデミックにより、教育におけるテクノロジーの重要性が浮き彫りになりました。オンライン学習の普及により、従来の教育方法の変革が進んでいます。しかし、デジタルデバイドにより、すべての子どもが平等にデジタル教育にアクセスできるわけではありません。

デジタル教育の課題と機会

機会:個別最適化学習、遠隔地教育、多様な学習リソース

課題:デジタルデバイド、教師の能力開発、学習の質の確保

対策:インフラ整備、教師研修、適切な教育コンテンツ開発

教育の未来

教育分野では、AI、VR/AR、ビッグデータなどの最新技術の活用が期待されています:

  • 個別最適化学習:AIによる学習者の理解度に応じた個別指導
  • バーチャル体験:VR/ARによる没入型学習体験
  • 学習分析:ビッグデータによる学習効果の可視化
  • 自動評価:AIによる学習評価の効率化

日本の取り組み

日本は高い教育水準を誇り、その経験と技術を国際協力に活かしています。国内では、Society 5.0時代に対応した教育改革、ICT環境の整備、多様性に応じた教育機会の提供などに取り組んでいます。

国内の教育政策

  • GIGAスクール構想による1人1台端末の実現
  • 大学入学共通テストの導入
  • 高等教育の無償化制度
  • 外国人児童生徒への教育支援
  • 特別支援教育の充実

国際教育協力

🏫

学校建設支援

開発途上国での学校建設・改修により、教育インフラの整備を支援しています。

👩‍🏫

教師育成

教師の能力向上、教材開発、教育制度改善により、教育の質向上を支援します。

🎯

技術教育

産業人材育成、職業訓練により、経済発展を支える人材の育成を支援しています。

💡

教育技術

ICT教育、科学技術教育の普及により、イノベーション人材の育成を支援します。